瀧川鯉昇−多磨・松丘亭

閉店後、総武線に飛び乗り武蔵境まで。西武多摩線に乗り換え、2つ目の多磨駅下車。地元の方が数人、パラパラと下車。それぞれの家路につく。街灯も少なく、人通りもほとんど無い線路沿いの寂しい道をセカセカと歩き、永福寺に到着。今夜はここで「松丘亭」という落語会があるのだ。目当ては瀧川鯉昇さん。
昨年くらいから落語を見るようになった。なのでまだ両手で数えられるほどしか生で見ていない。西荻窪のイベントスペース「がざびぃ」で、鯉昇さんのお弟子さんたちがやっている勉強会がある。その会に、師匠である鯉昇さんがゲスト出演したのを見たのが落語初体験。前座、2つ目さんたちの後のトリだが、一気に引き付けられた。そんなこんなで公式サイトのスケジュールで今日の会を発見し、ここまで来た次第。
本堂の脇にある建物にあがる。2階では何か子供の会があるみたいで、すごい歓声とドタバタと走り回る音。ホントにここかなあと、どこの部屋ともわからず玄関で立ち尽くしていると、後から来た常連ぽい会社員さんが勝手知ったるようズンズン進むのでついて行く。ソロリと障子を開けると、大きな畳敷きの部屋に椅子が20脚ほど並べられている。お客さんは10数人ほど。入り口に手作りの募金箱のようなもの。ここは500円以上のカンパとある。500円分の小銭がないので、千円札を入れる。ここの会の歴史は古く、もう200回以上行われている。毎月だから20年以上か。ベテランの真打さんが4、5人だから、贅沢な会だ。どうして真打を5人も集められるのか。前座や2つ目時代から世話しているからか。よくわからないが、熱心な住職なのだろう。残念ながら鯉昇さん以外は知らない方たち。鯉昇さんは最後から2番目。帰ってからわかったが「明け烏」という演目だった。他の演者さん達には悪いが、別格という感じ。たった20人ほどを相手にこの熱演。すごい。お客さんのほとんどは地元、近所の方のように見えた。わざわざ電車に乗って来たのは私だけだったかもしれない。それにしてもこの一席だけでも来た甲斐はあった。